就職試験で、「一般教養」の筆記試験のある企業もある。「一般教養」とは、一般的な教養だから、普段から身につけておくべき最低限の教養というものであって、一夜漬けでどうにかなるものではない。「浮世離れ」している人など、とても企業には勤まらないというわけだ。さぁ、大変だ。
一夜漬けでどうにかなるものではないけれど、どうにかならない一夜漬けもやらないよりはましだと思って、一夜漬けをする。


当日の試験は、簡単な漢字、算数、英語、敬語、それに、読んだ本や、新聞記事について、好きな有名人、最近笑ったこと、泣いたこと、自分の性格を単語であらわすと、・・・など盛り沢山で90分めいいっぱいかかって見直す時間はなかった。時間がないので、パスした問題もいくつかあった。




不思議の国のアリス鏡の国のアリス

気持ちが晴れないまま、その足で、『ヤン&エヴァシュヴァンクマイエル展』へと向かう。お陰で、お昼と夕飯抜きだ。それでも見たい!シュヴァンクマイエル
ヤン・シュヴァンクマイエルは、私が全作品映画を観たことがある数少ない監督の一人だ。世間では、シュルレアリスムとか、グロテスクな感じのジャンルだと勘違いされているようだが、この人ほど、"美"に貪欲な人もそう多くはないと思う。美しさのオンパレード、めくるめく夢のような世界。ロマン派とか言っても差し支えないくらいだ。アニメということも忘れてしまう。2005年に他界された奥様であるエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーが描いた色が絶妙に美しい原画も、200点ほど展示されており、感無量。
映画を全部観ているファンなら、ひっくり返るくらいに嬉しい、映画で使われた本物の"オテサーネク"人形が展示されていたり、「ファウスト」の人形、「悦楽共犯者」の人形も、本物が展示されていた。感慨深いものがある。あのオテサーネク人形の形は、人工的に手を入れないで、全く奇跡的に人間のような形の木の根っこなのだ。こんなものが、どうやったら見付かったのだろう。その人形の前で、こみ上げてくるのを抑えて、名残惜しく展示を見納める。



帰宅して、興奮気味に、家族にその話をしていたら、我が家の長が、「そんなものばかり観ていたから、"一般教養"が身に着かなかったんだね・・・。」と一言言って、大きく肩を落としていた。返す言葉がなかった。





人間椅子

■ ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展  ★★★★★
会期: 2007年8月25日(土)〜9月12日(水)
時間: 11時〜20時
会場: ラフォーレ原宿6F
入場: 800円